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Q1: カムランド実験での最初の実験結果が発表されましたが一体何がわかった
のですか?
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A1: | 原子炉から飛んでくるニュートリノ(反電子型ニュートリノ)が予測される
値にくらべて明らかに減っている事実を世界で初めて観測したことです。
観測されたニュートリノ信号数は期待値の6割しかなく、99.95%の信頼度
でニュートリノの欠損が確認されました。 |
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Q2: それはどんな意義を持つのですか?
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A2: |
1)このニュートリノの欠損は、ニュートリノが飛んでいる間にニュートリノ
固有の性質を示す未知の”何か”が起こっていることを示しています。
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2) 最大の可能性はニュートリノが質量を持ち、別のニュートリノに変わって
しまう現象(ニュートリノ振動)が起こっていることです。今後データーがた
まり、エネルギースペクトルに振動特有のひずみが確認されれば、反電子型ニュー
トリノの振動現象を捕らえた世界初の快挙となります。
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3)このニュートリノ欠損がニュートリノ振動から来るとすると、振動パラメー
ターという異なるニュートリノの質量の違いと混合を表す量の範囲が決まります。
それは太陽ニュートリノの観測で30年以上も続いた”消えた太陽ニュートリノ
の謎”を解決に導く快挙です。
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Q3: ニュートリノの質量が何故そんなに大切なのですか?
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A3: | 質量の起源を追求する事は、万物が何からできているか、物質の究極の姿を
追求する素粒子物理学における最も重要なテーマです。ニュートリノの性質を
解明することはこれに直結する鍵と考えられており、世界の第1線の研究者が
これに挑戦しています。
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なかでもニュートリノの質量は最も基本的な物理量であり、現在の理論では
予測できないため実験で測るしかありません。カムランドの実験結果はその大き
なテーマへ向かうひとつの扉を開いたといえます。
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Q4: ニュートリノの研究でどのようなことがわかるのですか?
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A4: | ニュートリノは自然界に大量に存在します。太陽ではたくさんのニュートリノ
がつくられ地球に飛んで来ます。その数は1cm2当たり毎秒660億個!もあります。
また上空からは宇宙線でつくられたニュートリノも地上に降り注いでいます。
原子力発電所でもニュートリノは大量に発生しています。さらに地球内部から
もたくさんのニュートリノが放出されていると考えられています。広大な宇宙には
もっともっとたくさん存在します。
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ニュートリノの性質がわかればニュートリノが関与するさまざまな自然現象
のしくみが解明されるでしょう。たとえばニュートリノの発生源である、
地球、星、宇宙での発生のメカニズム、その誕生、歴史や、天体や宇宙スケール
での物質の分布なども探る有力な研究手段となることでしょう。
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Q5: スーパーカミオカンデでのニュートリノ質量の発見とどう関係あるのですか?
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A5: | ニュートリノには3種類(電子型、ミュー型、タウ型)が存在しますが
スーパーカミカンデが捕らえたのはミュー型ニュートリノの振動現象でした。
これは大気ニュートリノの観測でミュー型ニュートリノががタウ型ニュートリノに
変身することを捕まえたもので、ニュートリノに質量があることを世界で初めて
明らかにした大発見でした。
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カムランドの結果は原子炉で発生する反電子型ニュートリノについて振動
を強く示す証拠を捕らえたものです。
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なお、現在つくば市にある高エネルギー加速器研究機構から250kmも
離れたスーパーカミオカンデに向けてニュートリノビームを打ち込む実験が
行なわれています。これは大気ニュートリノで捕らえたミュー型ニュートリノ
の振動現象を人工のニュートリノビームで検出することを目指して進められている
実験です。
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Q6: 太陽ニュートリノ問題とは何ですか? カムランドとどう関係があるのですか?
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A6: | 太陽ニュートリノ問題とは、観測される太陽ニュートリノの数が予測の半分位
しかなく、理論の間違いなのか、検出器に問題があるのか決着がつかず、
長い間「消えた太陽ニュートリノの謎」として未解決だった問題です。
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研究が進むにつれ、理論も実験も間違いではなく、ニュートリノが検出に
かかりにくい別の種類のニュートリノに変身する「ニュートリノ振動」が
原因だと考えられるようになりました。しかし、それを実際に検出することは
容易ではありませんでした。
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長い困難な歴史を経て、2001年カナダのスノーという実験グループが
ついに振動の証拠を捕らえました。太陽ニュートリノは電子型ニュートリノ
として発生します。彼らは電子型ニュートリノを識別できる反応と、
ニュートリノの種類によらず起こる反応を使い、電子型ニュートリノは確かに
減っているがニュートリノの総量は変わらないことを初めて示しました。
ついに太陽ニュートリノ問題は電子ニュートリノの振動が原因であることが
突き止められたのです。
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しかし、問題の完全な解決には一歩足りませんでした。振動を表すパラ
メーターの範囲がいくつかあり、スノー実験はこれをひとつに決定できなかった
のです。
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カムランド実験の今回の成果は原子炉ニュートリノの検出です。原子炉
では大量の反電子型ニュートリノが発生します。これは電子型ニュートリノの
反粒子であり、反粒子であること以外は電子型ニュートリノと全く同じ物理法則
に従います。したがってカムランドで振動パラメーターが求まると、その値はそ
のまま電子型ニュートリノに当てはまります。カムランドで観測されたニュートリ
ノ欠損がニュートリノ振動によるものとして解析すると、太陽ニュートリノ問題の最も
有力とされる範囲しか残らないことが確認されました。これは太陽ニュートリノ
問題の解決を強く示唆するものです。
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原子炉ニュートリノを使ったニュートリノ振動の検出実験は20年
以上前からたくさんのグループで行なわれてきました。しかし、どれも検出
に成功しませんでした。カムランドはこれまでにない高感度でこれに挑戦し、
ニュートリノ振動の兆候である欠損を捕らえた世界初の実験です。今後さらに
データを蓄積して振動の確認と振動パラメーターの決定が行なわれる予定です。
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Q7: 原子炉ニュートリノとはなんですか?
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A7: |
原子力発電所にある原子炉の中では、ウランなどの原子核が核分裂反応を起こしており、その時発生
する熱を利用して発電を行なっています。 この核分裂反応の後、新しく出来る原子核は、不安定で、
「ベータ崩壊」という崩壊を起こして、安定な原子核になって行きます。この崩壊に伴って反電子ニュー
トリノと呼ばれる素粒子が発生します。 これが原子炉ニュートリノです。 ニュートリノは、貫通力が
極端に大きいため、山でも地球でも邪魔されずに飛んで行きます。 カムランドでは、何百キロも
離れた所にある原子炉から来る原子炉ニュートリノを検出しています。 なお、ニュートリノは、反応
する力が極端に弱いため、人体には全く害はありません。 原子炉のすぐ隣(10m)にいても、ニュート
リノによる影響は、自然放射能の10万分の一以下です。 |
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Q8: たくさんの原子力発電所からのニュートリノをどうやって区別するのですか?
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A8: |
区別する必要はありません。ニュートリノ振動はニュートリノが発生
して飛ぶ間に変身する現象なので、これを捕まえるにはできるだけ遠くに
まとまった強力なニュートリノ源があれば良いのです。カムランドからは
平均して180kmのところに集中して原子力発電所が存在し、その熱出力
は7000万キロワットにのぼります。これは同じ出力の巨大な原子力発
電所が1基180kmの距離にあるのと同じ条件です。個々の
原子力発電所の情報からニュートリノの発生数がわかりカムランドで観測
される数が予測できます。振動が起こるとニュートリノの観測数が減るだけ
でなくエネルギーの分布にも特有のひずみが現れることが予測されます。
これと実験を比べるわけです。
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Q9: カムランドでの結果について、ニュートリノが途中で崩壊したとか、あるいは
見えないタイプのニュートリノに変わったのではないのですか?
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A9: | これまでの実験でそれらはほぼ否定されています。
たとえば太陽ニュートリノの振動現象をとらえたスノー実験や、
大気ニュートリノの振動現象をとらえたスーパーカミオカンデ実験が
そうであり、いずれもニュートリノの総量は変わらず、振動が起こっている
ことが確認されています。特にスノー実験で捕らえた太陽ニュートリノは
電子型ニュートリノで、カムランドでの原子炉ニュートリノと互いに
粒子・反粒子の関係にあり、全く物理法則に従うと考えられるため、ほぼ振動以外
にはないといえます。逆にもし振動以外の原因があればこれは粒子と反粒子の
予想外の違いを示すもので全く新たな現象を発見したことになります。
いずれにせよ今後データが蓄積されニュートリノエネルギーのスペクトルの
詳細な解析が可能となれば振動かどうか最終的な確認が期待されます。
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Q10: ニュートリノに質量があるとどうしてニュートリノ振動が起こるのですか?
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A10: | ニュートリノには電子型、ミュー型、タウ型の3種類がありますが、
この呼び方は必ずしも対応する固有の質量があることを示すものでは
ありません。つまりニュートリノの型と質量は同時に決まる必要はないのです。
これは日常生活ではちょっと考えにくいことですが、素粒子の世界では
起こり得ることなのです。
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もし型と質量の対応がずれていると、ある型のニュートリノは一般には
質量の異なったニュートリノの重ね合わせの状態となります。ところが時間が
たつと重なり方が変化するために別の型に変わることが可能になります。
つまりニュートリノは飛んでいる間に別の型に変わってしまうのです。
その起こり方は、質量の違いと重なり具合いによって決まるのでこれらを
振動パラメーターと言います。これらはニュートリノの性質を表すとても
重要な量ですが、予言できないため実験で決める以外に方法はありません。
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Q11: カムランド実験のキーポイントは何ですか?
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A11: | ニュートリノ振動現象は低いエネルギーで長い距離を飛ばすほど大きく
現れます。原子炉ニュートリノは加速器でつくられるニュートリノに比べエネ
ルギーがずっと低く、100%反電子型ニュートリノであり、しかも発生数を
正確に知ることができるので振動を調べるのにとても有利です。
しかし振動の検出はそう簡単ではありません。そのポイントは、
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1)強力なニュートリノ発生源(原子炉)ができるだけ遠方にあること。
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2)ニュートリノを確実にキャッチできること。(できるだけ大型の検出器
で、クリーンな環境で捕まえること。)
の2点です。
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カムランド以前の最も感度の高い原子炉ニュートリノ実験は、熱出力が
1000万キロワットの原子力発電所から約1kmの距離で行なわれました。
もしニュートリノ振動のパラメーターがスーパーカミオカンデで発見した
ミュー型ニュートリノの振動パラメーターと同じ程度なら、十分発見できた
はずでしたが、数十倍感度が足りなかったのです。
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カムランド検出器からは、平均して180kmの所に、総出力で日本全体の
原子力発電所の半分以上を占めるたくさんの原子力発電所が集中しています。
そして膨大な数のニュートリノ(検出器の場所で1000万個/cm2/s)が飛んできます。ニュートリノ振動が起こると観測されるニュートリノの数の
減少とエネルギー分布の変化として現れます。カムランドはニュートリノ振動を観測するまさに理想的な位置にあるのです。
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原子炉ニュートリノ実験では反電子型ニュートリノを識別できる液体シン
チレーターを使います。ニュートリノ反応はごくまれにしか起こらないので
検出器は大型のものほど有利です。カムランドは1000トンで世界最大
の液体シンチレーター検出器です。年間約300個のニュートリノ反応が
予想され、以前の実験の100倍以上の感度をもっています。
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検出されるニュートリノ反応はとても微弱であり、わずかの放射性不純物
にも邪魔をされてしまうため検出器全体はとてもクリーンな環境に保つことが
とても重要です。
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カムランド検出器は神岡の地下1000メートルの岩盤空洞に建設され
宇宙線による影響は地上の10万分の1に押えられています。またカムラン
ド液体シンチレーターは不純物がとても少なく、普通の生活環境での
放射能レベルの1000億分の1以下を達成しています。そしてニュートリノ反応
による光は高性能の光電子増倍管でキャッチします。
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このようにカムランドは原子炉ニュートリノ振動実験に必要な数々の
条件を見事にクリアーし、前人未踏の検出感度に到達し、原子炉ニュートリノ
振動の兆候であるニュートリノ欠損の検出に世界で初めて成功しました。
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今後は原子炉ニュートリノの他、さらに低いエネルギーの地球ニュートリノや
太陽ニュートリノに挑戦すべく、検出器の感度向上を目指す努力が続けられています。
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