ニュートリノ科学研究センター

ニュートリノ科学研究センター内
研究グループKamLAND(カムランド)

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ニュートリノのやさしい解説


※カムランド実験については「カムランド実験のやさしい紹介」 をごらん下さい。

東北大学ニュートリノ科学研究センター 白井淳平
目次
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1.ニュートリノってなんですか?
ニュートリノの登場
ニュートリノの種類と重さ
ニュートリノとその研究は何の役に立つのでしょうか?


2.ニュートリノの性質あれこれ
どのくらい小さいの?
ニュートリノは何種類あるの?
4つ目のニュートリノはないのでしょうか?
重さは見つかったっていうけどどのくらいなの?
「ニュートリノ振動」ってよく聞くんですが何なんですか?
ニュートリノってどうやって捕まえるの?

ニュートリノって何ですか?

·世の中の物質は一体何からできているのでしょう? これは古代ギリシアの昔から 問い続けられてきた難問です。多くの科学者達の努力により、今では全ての物質は 素粒子と呼ばれるとっても小さい粒子からできていることがわかっています。
·ニュートリノは素粒子のひとつです。素粒子にはいくつかの種類があるのですが 力の働き方により、クォークとレプトンとに分けられます。ニュートリノは レプトンに属する素粒子です。
·ニュートリノは世の中に気が遠くなるくらいとてもたくさん存在しています。 たとえば太陽からはいつもたくさんのニュートリノが出ており、この地球上にも 降り注いでいます。その数はなんと1平方cm当たり毎秒660億個!! というとてつ もない数です。
·ニュートリノは原子力発電所からもたくさん放出されています。また 高い空からも宇宙線でつくられたニュートリノがいつも地上に降り注いでいます。 さらに地球をつくる岩石や地球の内部からもたくさんのニュートリノが出てい ることがわかっています。
·身の回りは実にニュートリノだらけなのです。宇宙にはもっともっと多くの ニュートリノが存在することがわかっています。
·とても身近なニュートリノなのですが、誰も何も感じません。それはニュートリノが ほとんど何もしないで単に私達の体や物質を通り過ぎるだけだからなのです。ニュー トリノは他の素粒子と違って電荷を持たず、物質と反応する強さが桁違いに小さい ため地球さえも楽々と通り抜けてしまいます。また他の素粒子と違い重さがほとん どなく最近までゼロと考えられていました。
·こんなニュートリノがなぜ世の中にあふれているのでしょう?
·そもそもニュートリノってどうして見つかったのでしょう?
·ニュートリノの研究が進むにつれ、素粒子の世界の不思議が次々と明らかになって きました。そしてニュートリノが星の進化や宇宙の歴史にも深い関わりを持つことが わかってきました。
·この解説ではニュートリノについてわかりやすく説明します。

◎ニュートリノの登場

·ここでニュートリノの「発見」でなく「登場」としたのにはわけがあります。 ニュートリノはその昔(1930年)理論物理学者のパウリが考えた仮想の粒子 だったのです。彼は放射性物質の実験で当時研究者を悩ませていた難問を解決する ために、目に見えず電荷もない、とっても軽い粒子が検出器をすり抜けて飛び出して いるのだと考え、ニュートリノを導入しました。
·1950年代に入ってライナスとコーワンというアメリカの実験物理学者に よってついに原子炉から出るニュートリノが初めて観測され、ニュートリノは実 在の粒子であることがわかりました。

◎ニュートリノの種類と重さ

·研究が進むにつれニュートリノは3種類あることがわかりました。でもどれも とてつもなく軽く、理論的にはゼロとして一向に構わないとされてきました。 1998年、岐阜県神岡町にあるスーパーカミオカンデという巨大な純水タンクを 使った検出器で、ついにニュートリノに質量があることが明らかになりました。 そしてそれに深く関わりのある現象が次々に明らかにされつつあります。 今やニュートリノの研究は世界の第1線の研究者達によって盛んに進められています。

◎ニュートリノとその研究は何の役に立つのでしょうか?

·ニュートリノは私たちの世界、そして宇宙を構成する究極の物質です。 そのため、ニュートリノの性質を明らかにすることは、自然の究極の姿に 迫るものです。自然界に存在する力(重力や電磁気力など)の根本が明らかに なるかもしれません。ニュートリノは地球や太陽、そして宇宙にも 膨大な数が存在し、その誕生、進化に深く関わっていることがわかっています。 ニュートリノの研究によって宇宙の誕生と進化、太陽や星の進化、地球の 進化など万物の進化が明らかになるかもしれません。
·誕生から百億年を越えるはるかな宇宙の歴史の中で、やっと生まれたばか りの人類がニュートリノの研究を通じて宇宙の謎に迫る重要な鍵を見つけたのか もしれません。とってもロマンに満ちたことではないでしょうか?

ニュートリノの性質あれこれ

◎ どのくらい小さいの?

·ニュートリノは素粒子のひとつです。どの素粒子もとても小さく大きさは
0.0000000000000001cm(少数点第16位)
以下よりも小さい!ということしかわかっていません。現在のところ素粒子に 構造があるのかどうかもわかっていません。

◎ ニュートリノは何種類あるの?

·3種類あります。それぞれ相棒の電荷を持った素粒子とペアーを組み、ニュー トリノが関わる素粒子の反応では必ず決まった相棒が登場します。相棒とあわせる と6種類の素粒子が3つのペアーをつくっているのです。これらはまとめてレプトン と呼ばれます。

◎ 4つ目のニュートリノはないのでしょうか?

·今のところ見つかっていません。もしあったとしてもとてつもなく重く、他の ニュートリノと同じ仲間とは考えにくいのでこれでおしまいなのかも知れません。 ニュートリノは相棒の素粒子とあわせ3つのペアーがあると言いましたが、 同じように素粒子の仲間であるクォークも6種類あって、3つのペアーを作って います。最も重いトップクォークを最後に新たなクォークは見つかってい ません。レプトンと同じくクォークも6種類でおしまいなのかもしれません。 本当なのでしょうか? これはとても難しい問題です。

◎ 重さは見つかったっていうけどどのくらいなの?

·ニュートリノの重さは他の素粒子に比べてとても小さく正確にはわかっていま せん。ニュートリノ以外で最も軽い素粒子の電子は0。000。。。。001(少数 点第27位が1)グラムですが、ニュートリノはその百万分の1以下と言われていま す。
·ちょっと専門的になりますが、ニュートリノ質量の発見をしたスーパーカミオ カンデの実験ではニュートリノの重さそのものを測ったのではなく、ニュートリノ の質量の2乗に違いがあることを見つけた!ということなのです。このため 「質量はゼロではないがとても軽い!」ということしかまだわかっていないのです。 ニュートリノはどうしてこんなに軽いのでしょうか?これは難しい問題です。

◎ 「ニュートリノ振動」ってよく聞くんですが何なんですか?

·ニュートリノは3種類あり、どれも電気的に中性なんですが、いつもその相方の 電荷を持った素粒子としか反応しないことがわかっています。そこでこの相方(電子 とか、ミュー粒子とか)の名前をとって電子型ニュートリノとかミュー型ニュートリ ノとか呼んでいるのです。
·この規則は厳格に守られており、ニュートリノが相方以外の荷電粒子と直接 反応したり、ニュートリノが別の種類のニュートリノに変わることはなく、素粒子 を記述する理論はこの大前提の上に作られました。
·ところが最近になってニュートリノが飛んでいる間に別の種類のニュートリノに 変身することが見つかったのです。世界で初めてこの事実を発見したのはスーパー カミオカンデでした。この変身は、ニュートリノに質量があって初めて説明される ため、このニュースはニュートリノ質量の大発見として世界を駆けめぐりました。
·スーパーカミオカンデの発見はミュー型ニュートリノがタウ型ニュートリノに 変身するものでしたが、昨年カナダの実験グループにより太陽から飛んでくる 電子型ニュートリノも変身することがわかり、ニュートリノ質量が確認され ました。これはニュートリノの質量がゼロであるという仮定の上に立つ素粒子 標準理論の書き換えを迫る大きな出来事でした。
·話しが長くなりましたが、ニュートリノが飛んでいる間に別の種類のニュー トリノに変身するこの現象は、ニュートリノが飛ぶ距離によって周期的に繰り返され るためこれをニュートリノ振動と呼びます。

◎ ニュートリノってどうやって捕まえるの?

·ニュートリノは物質とごくまれにしか反応しません。したがってニュートリノ をつかまえるには大量の物質を用意し、そのなかで起こる素粒子反応を検出します。 たとえば電子を跳ね飛ばしたり、陽子とぶつかって別の素粒子を発生する反応を起こ させ、これらを捕まえるのです。
·使う物質は安くて大量に準備できるものが都合が良いのでたとえば水や液体 シンチレーターという”光る”液体が使われます。以下にその原理を紹介します。
·ニュートリノは水の中で反応すると、電子やミュー粒子といった電荷を持った 素粒子が勢いよく飛び出します。それらのスピードが充分速いと、特殊な光 (チェレンコフ光といいます)が出ます。この光を特殊な光センサー(光電子増倍管と いいます)を使って電気信号に変え数百万倍に増幅して検出します。スーパーカ ミオカンデはこうして太陽ニュートリノや宇宙線ニュートリノなどの検出を行 なっています。
·ニュートリノのエネルギーが小さくなるとチェレンコフ光がとても弱くなり 最後には出なくなります。このため水を使ったこの方法ではだめです。 液体シンチレーターを使うと、ニュートリノ反応でシンチレーション光という光が 出ます。その量はチェレンコフ光の百倍にもなります。この光を光電子増倍管で 検出してニュートリノを捕まえるのです。
·カムランドは1000トンの液体シンチレーターを使った低エネルギー ニュートリノ検出器です。スーパーカミオカンデでは検出できなかった原子炉 ニュートリノや、地球ニュートリノ、太陽ニュートリノなどの高感度検出を行 ないます。カムランド実験については「カムランド実験のやさしい紹介」 をごらん下さい。

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