(論文解説)
太陽ニュートリノ観測における「消えた太陽ニュートリノの謎」を説明するために、これまで様々なモデルが考えられてきた。カムランドの原子炉反ニュートリノ観測はニュートリノ振動のモデル(LMA解)を支持するが、太陽ニュートリノの欠損に対しては他のモデルが寄与する可能性はまだ許されている。カムランド実験では、太陽から飛来する電子型反ニュートリノの探索によって、太陽磁場とニュートリノ磁気モーメントの相互作用で他種のニュートリノに変化するモデル(RSFP解)の検証を行った。280トン・年のデータを用いて、原子炉反ニュートリノを避けて高いエネルギー領域(8.3 MeV〜14.8 MeV)での反ニュートリノの探索を行った結果、図に示すように観測数は0個であった(バックグラウンド事象の予測数1.1 ± 0.4個)。この結果から、電子型反ニュートリノフラックスは90%の信頼度で370個/cm2/秒以下と見積もられた。これは、太陽からの電子型ニュートリノフラックスの約3,600分の1以下に相当する。カムランドの測定は、RSFPモデルおよびニュートリノ崩壊モデルに対してこれまでで最も強い制限を与えた。
カムランドによる太陽、その他の発生源から飛来する
電子型反ニュートリノの高感度探索
フィジカル・レビュー・レターズ 92巻 071301(2004年掲載)
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