KiNOKO ニュース 2006 年 1 月 15 日

Version 1.1 公開

2006年1月15日,KiNOKO Version 1.1 を公開しました. V1.1 版は以下からダウンロードできます.
http://www.awa.tohoku.ac.jp/~sanshiro/kinoko/Download/Download.html
以前の版 (Version 1.0 Release 3) からの主な変更は以下のとおりです.
新機能:オートパイロット
コントロールパネルに対するマウスやキーボードの操作をあらかじめプログラムしておくことができるようになりました.詳細については,クイックツアー/オートパイロットを使う を参照してください.

新機能:データファイル名の自動置き換え
smallkinoko enterprise で,データファイル名をランごとに自動生成させることができるようになりました.詳細については,クイックツアー/Smallkinoko Enterprise を使う を参照してください.

コントロールパネルスクリプトの強化
KCML ファイル中の <script> タグ中に記述するスクリプトが大幅に強化されました.主な変更は以下のとおりです.
  • 標準スクリプトの機能をフルサポート(正規表現やデーターベースアクセスなど)
  • あらかじめ指定したタイミングでスクリプトを実行する on startup() / on shutdown() / on every(time) エントリを追加
  • システムが特定の状態遷移をしたときにスクリプトを実行する on transition(from initial_state to final_state) / on invocation(event_name) エントリを追加
  • 指定時間後に関数の呼び出しを行うようにスケジュールする after 文を追加
  • KCOM にイベントを送る invoke 文を追加

標準スクリプトの強化
標準スクリプトのリスト処理の機能が強化され,MATLAB 風の記述ができるようになりました.以下の括弧内の例では,0 から 10 の間で,sin() 関数の値が正となる範囲の cos() 関数の値を 0.1 間隔で計算します.
  • MATLAB 形式のリスト生成演算子 (list x = [0:0.1:10] など)
  • リストに対する関係演算を完全サポート (sin(x) > 0 など)
  • リスト処理関数 find(), count(), findkeys() を追加 (list range = find(sin(x)>0) など)
  • 配列演算子の引数にリストを使えるように拡張 (cos(x[range]) など)

他に,以下の拡張が加えられています.
  • リストに対する和分と差分の関数 sigma(), delta() を追加
  • void, bool 型を追加
  • リストと文字列に対する配列演算子の引数に負数を使えるように拡張.a[-1] は a の最後の要素になる.
  • int timeOf(int year, int month, int day, int hour, int min, int sec) 関数を追加

読み出しスクリプト機能の強化
CamacModule::setInvalidDataValue(int value) により,CAMAC モジュールが Q レスポンスを返さなかった場合に指定された値のダミーデータを返せるようになりました(指定しない場合はデータが読み出されず,ファイルは何も記録されない).

setPollingInterval(int interval_usec) 関数により,ポーリングループが使われる場合のくり返し間隔が指定できるようになりました.0 を指定すると反応は最速になりますが,CPU 負荷は最大になります.

waitData() アクションに Timeout と Response 引数を追加.トリガが発生しなかった場合の処理を記述できるようになりました.

デバイスドライバの機能強化
vmedrv
  • 非ブロック DMA 転送をサポート.
  • VME アクセスエラーを検出する probe() 関数を追加.
  • 多重割り込みを処理する poll() 関数を追加.
  • Linux 2.6 に対応
camdrv
  • 多重割り込みを処理する poll() 関数を追加.
  • Linux 2.6 対応

その他
Recorder コンポーネントに setMaxSubfileSize() スロットを追加.
KCOM スクリプトに on every(time) 文を追加.
GTK 2.0 系列対応 (GTK 2.4 以上 または GTK 1.2 + imlib で動作)
kdflist コマンドを追加

KiNOKO の次回リリース (Version 2.0) より,KDF ファイルフォーマットの変更が予定されています.Version 2.0 で作成されたファイルは,Version 1.0 以前の KiNOKO では読むことができなくなります(Version 1.0 で作成されたファイルを Version 2.0 で読むことはできます).Version 2.0 への移行時の混乱を減らすため,なるべく早めに Version 1.1 以降にアップデートすることを推奨します.

現在の KiNOKO でいちばん不足しているのはドキュメント類です.KiNOKO をいろいろな実験や測定などに使ってみた方は,その使用例や KiNOKO 自体の使い方などの解説を Web で公開したりなど,ドキュメント類の充実にご協力ください.


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