KiNOKO ニュース 2008 年 7 月 4 日

Version 2.0 公開

2008年7月4日,KiNOKO Version 2.0 を公開しました. 以前の版 (Version 1.1) からの主な変更は以下のとおりです.
新 KDFフォーマット(KDF4) 導入
KDF フォーマットが大幅に強化され,Version 4 (KDF4) となりました.KDF4 の新機能は以下のとおりです.

  • データをビット単位で最密記録
  • 秒精度の時間情報をデータストリームに挿入
  • 実数(32bit 浮動小数点数)の記録をサポート
  • 文字列(32bit ハッシュ値)の記録をサポート
  • 表示フォーマット指定フィールドを追加 ("%04x" など)
  • indexed 型にサブアドレスを追加 (FADCのサンプルカウントなど)
  • indexed 型に depth および maxdepth 属性を追加
  • 宣言済コマンドを多数追加(Clear や Build など)
  • セクションに attribute を記録できるように変更
  • データデスクリプタの構文を将来拡張しやすい形式に変更

KDF4 ファイルは以前のバージョンの KiNOKO (Version 1.1 まで) で読むことができません(KiNOKO Version 2 以降で古い KiNOKO の KDF ファイル (KDF2) を読むことは全く問題ありません).古い KiNOKO との混在環境でのトラブルを減らすため,デフォルトでは古い KDF2 を使うように構成されています.KDF4 を使いたい場合は,configure の際に configure-for ファイルの先頭にある --enable-kdf2 オプションを指定している行をコメントアウトしてください.

新機能:Web-KiNOKO
実行中の KiNOKO をウェブブラウザからコントロールやモニタをできるようになりました.コントロールパネルと同期するフォームや,ビューアの絵を自動更新して表示する機能などが実装されています.さらに,生成されたウェブページを保存しておくことで,ランサマリとして利用できます.

Web-KiNOKO は,比較的新しめの標準的なウェブブラウザで動作します.Firefox 1.5 および Safari 3.0 で動作確認を行いました.おそらく,Opera 9 でも動作すると思います.Internet Explorer では動作しません.また,ブラウザでは,JavaScript が利用可能に設定されている必要があります.

新機能:Visual Widgets  
コントロールパネルが大幅に強化され,様々な形式で値をグラフィカルに表示するウィジェット (VisualWidget) が多数追加されました.これにより,コントロールパネルスクリプトだけを使って独立のグラフィカルな計測制御アプリケーションを簡単に作ることができるようになりました.

新機能:tinykinoko-graphical
tinykinoko の GUI フロントエンド tinykinoko-graphical が追加されました.コントロールパネルスクリプト (KCML スクリプト) だけで実装されており,ビュースクリプトの自動生成もできます.

標準スクリプト強化
標準スクリプトに以下の関数が追加されました.  
  • システム関係:eval(), kill()
  • 数学関数:sinc(), round(), trunc(), ceil(), floor()
  • リスト処理:zeros(), ones(), divide()
  • 書式化関数:hex(), dec(), bin(), fixed(), scientific()

読み出しスクリプト強化
  • 割り込みを使用しないように指定する forcePolling() 関数を追加
  • レジスタ操作演算子 =, +=, -=, *=, /=, %=, &=, |=, ^= を追加
  • シーケンス制御文 skip,terminate を追加

ビュースクリプト強化
  • History が廃止になりました.代わりに,Trend を使ってください.とりあえずコンストラクタでのクラス名を History から Trend に変更するだけでほぼ同じように動作します.hold() メソッドを使っていた場合は,削除してください.Trend では,コンストラクタパラメータで hold のタイミングを指定します.
  • History の後継となる Trend は,時間情報に fill() のタイミングではなくデータのタイムスタンプを使用します.そのため,以下のような特長を持ちます.  
    • バッファを介した後でもタイムスタンプ遅延がない
    • 描画系のCPU負担によらず時間表示が正確
    • データファイルを入力とする非実時間処理でも同じ出力結果を得られる
    • 時間軸を絶対時刻とした描画ができる (setTimeTick() で指定)  
  • Histogram に setReferenceHistogram() メソッドが追加され,ノーマライズしたヒストグラムを薄く重ね書き表示できるようになりました.
  • setDisplayStatistics() メソッドにより,表示する統計情報を指定できるようになりました.
  • ビューア上の絵の範囲をマウスで選択することにより表示範囲を変えられるようになりました.
  • kinoko-viewer コマンドにより,smallkinoko などを立ち上げなくても,データファイルとビュースクリプトから絵を描画できるようになりました.
        % kinoko-viewer MyDataFile.kdf MyViewScript.kvs | kinoko-canvas
      

コントロールパネル強化  
  • タブ機能を実現する Notebook / Page ウィジェットを追加
  • ウィジェットを整列させる Table / Cell ウィジェットを追加
  • lookupWidget() 関数のショートカット <>演算子を追加
  • グラフィカルウィジェット VisualWidget を追加
  • データ描画ウィジェット Viewlet を追加

デバイスドライバ類のアップデート

その他
  • kdftable で時刻情報出力
  • kdfdump にバイナリデータ出力オプション --binary を追加
  • kdfdump に表示セクションを指定するパラメータを追加

マニュアル更新

Version 2.0 公開を機に,ウェブ上にあるマニュアル類を大幅に加筆修正しました.また,このHTMLマニュアルをダウンロードページよりまとめてダウンロードできるようにしました.ただし,ウェブページ上の文書は随時更新されますので,なるべくそちらを参照するようにしてください.

現在の KiNOKO でいちばん不足しているのはドキュメント類です.KiNOKO をいろいろな実験や測定などに使ってみた方は,その使用例や KiNOKO 自体の使い方などの解説をウェブで公開したりなど,ドキュメント類の充実にご協力ください.


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