カムランドとは?:(反)ニュートリノの検出方法

ニュートリノや反ニュートリノは、ごくまれにしか他の物質と反応しないため検出するのが大変難しい粒子です。 カムランドではこの低頻度のニュートリノ反応事象を検出するために、液体シンチレーターと呼ばれる発光性の油を用いています。 液体シンチレーターは、ベータ線やガンマ線などの放射線が通過するとシンチレーション光という青い光を出します。水を使ったニユートリノ検出器に比べ、シンチレーション光による発光量は約 100倍も大きいため、より低いエネルギーを観測できるというメリットがあります。カムランドでは、この光を直径 18mのステンレス球形タンクの内部に設置された1879本の光電子増倍管でとらえ、ニュートリノ事象を検出します。カムランドはニュートリノのうち、特に反電子ニュートリノ(原子炉や地球内部から発生するニュートリノ)を識別して検出する事が出来るという大きな特徴があります。

反電子ニュートリノの検出

反電子ニュートリノが液体シンチレーターの陽子と反応すると、陽電子と中性子が発生します。陽電子は液体シンチレーターの中で先を発しながらすぐに電子と対消滅してガンマ線を放出し、さらに液体シンチレーターを発光させ先発信を出します。一方、中性子は他の陽子などと衝突を繰り返した後、平均210マイクロ秒後(1マイクロ秒は100万分の1秒)に液体シンチレーターを発光させ、これが後発信号となります。反電子ニュートリノ以外のほとんどの邪魔物反応では液体シンチレーターの発光は1度きりですが、反電子ニュートリノ反応ではこのように特徴的な2回の発光現象が起きるために、高い信頼度で邪魔物反応を除去し反電子ニュートリノを識別する事が出来ます。こうして反電子ニュートリノ事象の起こった時刻、場所、エネルギーを正しく観測することができるのです。

カムランド検出器のステンレス球形タンク(直径18m)の内部から天井を見上げて撮影した写真。
16個×4の光電子増倍管が作る菱形が組み合わされた30面体構造になっています。この中に1000トン液体シンチレーターを入れた直径13mの透明なバルーンと、その外側を覆う透明なミネラルオイルを封入し、微弱なニュートリノ信号を検出します。
反電子ニュートリノを検出する反応の概略図。
先発信号・後発信号、共に液体シンチレーター中で発生した陽電子やガンマ線が発光を引き起こします。
カムランドでのイベントディスプレイ。
1つの点は光電子増倍管1つに対応し、色のついている点は光を検出したことをしめす。