KiNOKO ニュース 2003 年 7 月 8 日

Version 1.0 Release 2 公開

2003年7月8日,KiNOKO Version 1.0 Release 2 (V1.0R2) を公開しました. V1.0R2 版は以下からダウンロードできます.
http://www.awa.tohoku.ac.jp/~sanshiro/kinoko/Download/Download.html
以前の版 (Version 1.0) からの主な変更は以下のとおりです.
vmedrv が 新しいカーネルに対応
新潟大学の岩井さんにより,vmedrv を新しいカーネル(Linux 2.4.20 以降)でコンパイルしたときに発生するエラーが修正されました.RedHat 8.0 以降に対応します.

読み出し系が「バスブリッジ」に対応
いままでのハードウェアモデルはコントローラとモジュールだけからなる単純なものでしたが,VME-CAMAC などのブリッジも扱えるようになりました.読み出しスクリプトには,新しい組込みクラス VmeCamacBridge などが追加されました.

Kinetic2917 - Kinetic3922 をサポート
Kinetic の VME-CAMAC ブリッジ K2917-K3922 が利用できるようになりました.K2917 を通常の CAMAC コントローラとして使用することも,VME のモジュールとしてリスト処理とブロックデータ転送をすることもできます.local/samples に,これらを行なうサンプル VmeCamacBridge.kts と K2917.kts があります.VmeCamacBridge.kts を使う場合は,K3922 のフロントパネルにある CrateAddress を 1 に設定してください.

ソフトウェアモジュールの IntervalTimer と OneshotTimer に Read() アクションを追加
Read() は UNIX 時間を返します.秒の精度ですが,イベントの時間記録等に利用できます.

全ての標準コンポーネントに system() イベントスロットを追加
シェルを起動してコマンドを実行する system() を全てのコンポーネントに追加しました.コンポーネントが動作しているホストでコマンドが実行されるので,スクリプトの管理がかなり楽になります.

KinokoRecorder の統計情報を Logger に出力できるようにした
Buffer の統計情報とあわせ,これらの情報から動作中のシステムのデータフローレートやデータサイズなどをモニタできるようになります.

全ての標準コンポーネントに HeartBeat モニタを追加
コンポーネントのトランザクション数を HeartBeat としてプロパティに記録できるようにしました.これにより,プロパティやレジストリを経由して,コンポーネントの動作情况や生死を把握できるようになります.

KCOM スクリプトでコンポーネントのプロパティにアクセスできるようにした
いままではレジストリ経由の不自然な形でしかできなかったプロパティの取得が,"コンポーネント名.プロパティ名" という簡単な構文でできるようになりました.

KCOM のレジストリを XML 型式で保存できるようにした
XML を扱うさまざまなツールが利用できるので,GUI の開発やサマリジェネレータなど,活用の幅が拡がります.

KCOM スクリプトに on every 文を追加
KCOM スクリプト中で一定時間ごとにある処理をしたい場合に利用できます.SmallKinoko では,60 秒ごとにレジストリの内容を XML 型式でファイルに書き出すようにしています.これにより,動作中のシステムのモニタが容易になります.

KCML スクリプトに <Menu> / <MenuItem> タグを追加
コントロールパネルのメニューバーにメニューを追加するためのタグ <Menu> およびメニューにメニュー項目を追加するためのタグ <MenuItem> を追加しました.<MenuItem> では,<Button> と同様に,on_click により任意の動作をさせることができます.

KCML スクリプトに <Script> タグを追加
従来の <Action> で行なっていたローカルアクションの記述を <Script> で行なうように変更しました.<Script> 中では,通常のスクリプトと同様の型式で複数の関数を書くことができます.on_click では<Script> 中の関数名を指定するようにします.include も使用できるので,XML による配置のスクリプトとプログラミング言語型式の処理スクリプトを分離することができるようになります.<Action> タグは,当面使用できますが,将来は廃止の予定です.

ビューシーケンスに on pre_clear と on post_clear を追加
いままでは on clear のみで,クリア後に実行されるシーケンスしか記述できませんでしたが,on pre_clear により,クリア前に実行されるシーケンスも作成できるようになりました.また,名前も曖昧さのないものになりました.on clear は,当面使用できますが,将来は廃止の予定です.

印刷用マニュアルを作成

Web の文書を印刷用に編集・整形したものを 2002 年 3 月に公開しました.ダウンロードのページに置いてあります.が,すでに内容が古くなってしまいました.近いうちに新しい版を作成します.

ドキュメントを加筆

Kinoko の構造
使用方法のページに,Kinoko の概要の解説を加えました.TinyKinoko/SmallKinoko だけを利用している限は必要ありませんが,自分で KCOM スクリプトを作成する場合に必要な情報です.

データファイルの読み方2
DataProcessor フレームワークを使った高度なファイルの扱い方の解説です.データフォーマットといくつかの内部クラスに関する知識が必要ですが,より柔軟なデータの扱いができ,また,データ解析プログラムのオンライン化が容易です.

適用事例:KamLAND 実験
KamLAND 実験のデータ収集系(電子回路など)についての説明と,Kinoko のスクリーンショットがあります.

現在の KiNOKO でいちばん不足しているのはドキュメント類です.KiNOKO をいろいろな実験や測定などに使ってみた方は,その使用例や KiNOKO 自体の使い方などの解説を Web で公開したりなど,ドキュメント類の充実にご協力ください.


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