原子炉反ニュートリノを用いたニュートリノ振動の研究(2)

力ムランドでは観測データを増やし、2005年には515日の観測データを用いた結果を発表しました。この発表ではニュートリノ消失の有意性を99.998%の信頼度まで高めただけでなく、ニュートリノ振動固有のエネルギースペクトルのゆがみを観測し、ニュートリノ振動の直接証拠となる振動パターンをとらえることに成功しました。

さらに2008年に発表した最新の結果は、 1491日の観測データを元に解析を行ったものです。前回の発表ではニュートリノ振動パターシは1周期まで確認しましたが、今回はさらにデータを蓄積し、解析手法を改善する事でほぼ2周期まで確認する事に成功しました(下図)。また、これまでの詳細な解析により、ニュートリノ振動を特徴付ける物理量が高い精度で決定されました。なかでも力ムランド実験が開始する前は7桁もの不定性があったニュートリノ質量の2乗差( Δm² )が2.8% という高精度で決まりました。

このようにカムランド実験は、30年間謎だった太陽ニュートリノ問題を解決しただけでなく、電子ニュートリノの振動現象を詳細に測定し、振動固有の物理量を精密に決定する事に成功しました。


振動パラメーター解析の結果
横軸は振動の大きさを表し、縦軸は2つのニュートリノの質量の2乗差を表す。黒の線は世界各地の太陽ニュートリノ実験の結果を合わせた領域、色のついた領域はカムランドの結果を表す。これらの結果が一致していることにより、ニュートリノ·反ニュートリノでの振動に違いが無い事が示された。