メンバー

INTERVIEW OF NEUTRINO MEMBER VOL.15
助教  尾﨑 秀義

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Q1. 現在取り組んでいる研究・仕事の内容を、分かりやすく教えて頂けますか?


マヨラナニュートリノというのを探しています。1937年に、イタリアの物理学者マヨラナさんが考えた粒子と反粒子の区別がつかないような素粒子マヨラナ粒子というのがあります。ニュートリノがそのマヨラナ粒子なんじゃないかということで、実験で確かめようとしています。 実際には、大型の液体シンチレータ検出器(カムランド)で、ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊というニュートリノがマヨラナ粒子であれば起こる非常にレアな現象を探しています。カムランド禅実験というやつです。

非常にレアなイベントなので、たくさんの二重ベータ崩壊原子核を使わないと見つからないです。そこでカムランド禅800という世界でも一番多くの二重ベータ崩壊核(キセノン約750 kg)をつかった実験を2019年に開始しています。2019年までは、カムランド禅800の実験装置の大きな透明バルーンを溶着して作ったり、液体シンチレータを蒸留したり、二重ベータ崩壊核のキセノンを溶かし込んだりしていました。

ここ最近は、主にデータ解析をしています。生のデータの中には、宇宙線ミューオンだったり、二重ベータ崩壊とは関係のない崩壊だったりというのが混ざっています。いわゆるバックグランドというものです。この中から二重ベータ崩壊を見つけ出すために、さまざまな解析フィルター(カットと呼んでいます。)を通してイベントを選別していきます。このフィルターを開発したりします。他にも、イベントを再現するシミュレーションを構築したりだとか、検出器の電荷や検出時間の情報からイベントの起こった場所やエネルギーを推定するアルゴリズムを作ったりしています。

 

Q2.  研究者という仕事を選んだきっかけ・理由は何ですか?


小さい頃から研究者になりたくて…というタイプではないので、”選んだ”のは同期が皆就活を始めたタイミングなのかなと思います。その時は、研究は面白いし、やりがいもあるので自分が続けられる限りは研究をしたいと思ったからです。やはり科学の発展に直接貢献できる(かもしれない)のは、なんかいいですよね。

 

Q3.  研究職は、いわゆるThe理系だと思いますが、子供の頃から、理系の科目が得意でしたか?理系の分野に興味をもったきっかけはありますか?


子供の頃は、算数、数学はわりと得意で好きでした。わからない問題があるとなんか悔しくて、ずっと考えていたりしました。物理に興味を持ったのは、高校くらいの時に宇宙や素粒子関係の科学雑誌や新書を読んでからだったと思います。でも高校生で勉強する物理はあまり好きじゃなかったです。 大学では、科学雑誌や新書で読んでいたような研究ができているので満足しています。

 

Q4.  仕事をしていて、どのような時に、喜び・楽しさを感じますか?


カムランド禅800のバルーンを、カムランドの中に入れたときや、大きなリークなどの問題がなさそうだとわかったときは嬉しかったですね。クリーンルームの中で何ヶ月もかけて苦労して、目には見えない小さな穴を塞いでましたので…。

他にもカムランド禅800が観測開始できた時などプロジェクトがうまくいっている節目節目では、宴会(最近はないですが…)と喜びや楽しさがあります。

日々の研究でも、小さな発見があったり、これまでできなかったことができるようになったり、わからなかったことがわかったりします。そういうのも楽しいです。



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0時から8時のシフトを終えて、GSA(ジオスペースアドベンチャー)という神岡でのイベントに参加した時の写真

 

Q5.  休日は、どのように過ごすことが多いですか?


職員になったタイミングで車を買ったので、最近はドライブに行くことが多くなりました。東北には景色のいいところや温泉などたくさんあっていいですね。あとはラーメンとお酒とフットサルが好きです。

 

Q6.  好きな/面白かった本・映画・ドラマはありますか?


最近は、海外ドラマをよく見ます。物理学者だからというのもあってか「ビッグバンセオリー」は好きです。他にも「ゲームオブスローンズ」や「シリコンバレー」は面白かったです、おすすめです。



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  厳美渓に紅葉狩りに行った時の写真

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     愛媛の実家で夏に弟と釣りをしている時の写真

 

Q7.  心に残っている言葉、座右の銘はありますか?


座右の銘は特にないので、海外ドラマで心に残ったセリフを紹介しておきます。 ゲームオブスローンズの「When you play the game of thrones you win or you die. there is no middle ground.」というのです。

 

Q8.  10年後の自分は、どうありたいですか?


健康であって、自由であればいいのかなと思います。

 

Q9.  研究職に進みたい、興味があると思っている学生・子供達へ、どのように考え行動をすれば良いか、アドバイスを貰えますか?


自分は、子供の頃はサッカー選手になりたいとか思っていた感じなのであまりいいアドバイスはできないかもですが。
研究者は一つのことを極める人であるだけでなく、意外と多才でもないといい研究者になれないのかなと実感することが多いです。 自分の研究を他の研究者や社会全体に伝えるためには、文章力やプレゼン能力が必要だし、他の研究者とのコミュニケーションからいいアイデアが出てくることもあります。 日々、何であっても真剣に取り組むこと、興味の幅を広げることが大事なのだと思います。

 

Q10.  最後に自由に一言お願いします!


最後まで読んでくれてありがとうございます。
研究者には面白い人がたくさんいます。ぜひ興味を持ってこの分野に進んでくれたら、せめて遊びに来てくれたら幸いです。



インタビューへのご協力、ありがとうございました!
  インタビュー日付:令和3年12月