RCNSについて

ご挨拶

センター長 教授 井上 邦雄 

 物質を構成する素粒子の中でも桁外れに多く宇宙に存在するニュートリノは、素粒子大統一理論の構築や宇宙の成り立ちの理解に重要な役割を果たします。ニュートリノ科学研究センターでは、ニュートリノの特性研究、ニュートリノを利用した観測、そして希な現象の研究を通して、素粒子物理学、宇宙物理学、ニュートリノ地球物理学、ニュートリノ太陽物理学などの最先端分野における未解決問題を究明し、宇宙の真理を探求することを目的としています。

 ニュートリノは透過性が高く捕まえ難いため、その性質を詳細に調べることが困難な素粒子です。そこで、ニュートリノ科学研究センターは、この稀なニュートリノ事象を観測するために、岐阜県飛騨市の神岡鉱山内地下1,000mに、ニュートリノを捕まえると光を発する液体シンチレータ1,000トンを蓄えた実験装置「カムランド」を建設しました。カムランド(KamLAND)は、神岡液体シンチレータ反ニュートリノ観測装置(Kamioka Liquid-scintillator Anti-Neutrino Detector)を意味します。カムランドでは、原子炉から飛来するニュートリノが引き起こすニュートリノ振動という現象を精密に研究することができます。また、ニュートリノによる地球や太陽などの天体内部の実験的研究手段や極低放射能の実験環境も提供します。

 ニュートリノ科学研究センターでは、カムランドでの研究を推進するとともに、国内外のニュートリノ実験にも積極的に関与し、ニュートリノ研究を展開していきます。同時に、物理学専攻とも密接に連携し、素粒子研究全般そして物理学の進展に寄与していきます。

Prof.Inoue

RCNSの沿革

ニュートリノ科学研究センター

1966 日本で初めて東北大学にて泡箱写真解析を開始
1971 東北大学理学部付属施設として泡箱写真解析施設設置(青葉山)
1986 「ニュートリノ物理学および天体物理学」第12回国際会議 仙台にて開催
1997 KamLAND建設開始(岐阜県飛騨市神岡町)
1998 「ニュートリノ科学研究センター」に改組・転換
2002 KamLAND実験開始(1月)
    KamLAND原子炉ニュートリノ欠損の証拠 (12月)・太陽ニュートリノ問題の解決
2004 国立大学法人化
2005 KamLAND地球ニュートリノ観測を公表(9月)・ニュートリノ地球物理の創出
2007 「宇宙素粒子・地下物理」第10回国際会議 仙台にて開催
2009 理学研究科付属施設から全学共同利用施設へ格上げ (12月)
2011 KamLAND-Zen実験開始
2016 カムランドグループ "基礎物理学ブレイクスルー賞" 受賞
2019 KamLAND-Zen800測定装置完成 実験開始