研究成果

博士・修士 論文発表会 2022
博士課程3年: 竹内 敦人 (KamLAND)

  • 研究成果

Takeuchi
博士課程3年: 竹内 敦人 (KamLAND)   発表:2022年1月27日

『First Search for Majorana Neutrinos in the Inverted Mass Hierarchy Region with KamLAND-Zen』
(KamLAND-Zen による初めての逆質量階層構造での マヨラナニュートリノの探索)

論文概要

KamLAND-Zen実験では、ニュートリノのマヨラナ性検証のために、 Xe136のニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊(0vbb崩壊)を探索している。 2011年から2015年にかけて観測を行ったZen 400フェーズでは、 0vbb崩壊の半減期から計算されるマヨラナニュートリノの質量に対して、世界で 最も厳しい上限値を与えた。

さらに、2019年からは750 kgの同位体濃縮キセノンを用いたKamLAND-Zen 800フ ェーズの観測を行っている。 精力的な背景事象除去の取り組みの結果、 Zen 800フェーズでは、これまでは寄与を無視していたキセノンの核破砕生成物 も無視できない背景事象となっている。

本研究では、KamLAND-Zen 400及びZen 800の観測データを用いて0vbb崩壊の探索 を行った。ポイントは次の2点である。
・実効的な中性子数にあたる新しいパラメータを導入することで、キセノン核破 砕生成物のレートを正確に測定した。
・キセノン核破砕生成物のレートとの相関を考慮して信号である0vbb崩壊のレー トを制限した。
0vbb崩壊の発見には至らなかったものの、マヨラナニュートリノの質量に対する 上限値をより厳しい値に更新した。

本研究の結果、KamLAND-Zen実験は制限及び感度の両者において逆質量階層構造 と呼ばれる前人未到の領域での0vbb探索を実現した。 さらに、新しい解析手法を取り入れることで、 将来実験にも並ぶ高い感度で探索を継続できることも示した。


Take2

Take3