博士・修士 論文発表会 2022
博士課程3年: 竹内 敦人 (KamLAND)
- Feb. 22, 2022
- 研究成果
博士課程3年: 竹内 敦人 (KamLAND) 発表:2022年1月27日
『First Search for Majorana Neutrinos
in the Inverted Mass Hierarchy Region with KamLAND-Zen』
(KamLAND-Zen による初めての逆質量階層構造での マヨラナニュートリノの探索)
論文概要
KamLAND-Zen実験では、ニュートリノのマヨラナ性検証のために、
Xe136のニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊(0vbb崩壊)を探索している。
2011年から2015年にかけて観測を行ったZen 400フェーズでは、
0vbb崩壊の半減期から計算されるマヨラナニュートリノの質量に対して、世界で
最も厳しい上限値を与えた。
さらに、2019年からは750 kgの同位体濃縮キセノンを用いたKamLAND-Zen 800フ
ェーズの観測を行っている。
精力的な背景事象除去の取り組みの結果、
Zen 800フェーズでは、これまでは寄与を無視していたキセノンの核破砕生成物
も無視できない背景事象となっている。
本研究では、KamLAND-Zen 400及びZen 800の観測データを用いて0vbb崩壊の探索
を行った。ポイントは次の2点である。
・実効的な中性子数にあたる新しいパラメータを導入することで、キセノン核破
砕生成物のレートを正確に測定した。
・キセノン核破砕生成物のレートとの相関を考慮して信号である0vbb崩壊のレー
トを制限した。
0vbb崩壊の発見には至らなかったものの、マヨラナニュートリノの質量に対する
上限値をより厳しい値に更新した。
本研究の結果、KamLAND-Zen実験は制限及び感度の両者において逆質量階層構造
と呼ばれる前人未到の領域での0vbb探索を実現した。
さらに、新しい解析手法を取り入れることで、
将来実験にも並ぶ高い感度で探索を継続できることも示した。

