博士・修士 論文発表会 2022
修士課程2年: 𠮷田 雄貴(KamLAND)
- Feb. 22, 2022
- 研究成果
修士課程2年: 𠮷田 雄貴(KamLAND) 発表:2022年1月31日
『KamLAND2プロトタイプ検出器におけるシミュレーションの構築と極低放射分析感度の評価』
論文概要
KamLAND-Zen実験は、二重ベータ崩壊による液体シンチレータの発光をPMTで検
出し、ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊の探索を行う実験である。しかし
未だニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊の信号は検出されていない。そこで
実験感度向上を目指したKamLAND2-Zen実験が計画されており、主な改良案として、
高量子効率PMTの導入、PMTに 集光ミラーを装着、新型液体シンチレータ(LAB-LS)
の導入による光量の増加が挙げられる。
前述した改良案はそれぞれ独立して研究開発が行われているが、それらを組み
合わせた最終的な光量の評価は行われていない。そこでKamLAND検出器の高性能
化を事前に確認することを目的としたKamLAND2プロトタイプ検出器の建設が計画
されている。プロトタイプ検出器は液体シンチレータの極低放射能分析やNaI を
用いた暗黒物質探索への応用も検討されている。
本研究ではプロトタイプ検出器のシミュレーションツールを構築し、シミュレ
ーションを用いてプロトタイプ検出器における光量の予測、極低放射能分析の感
度評価、暗黒物質探索への応用可能性の評価を行ない、集光ミラーによる集光量
が2.0倍となることがわかった。またプロトタイプ検出器は極低放射能分析や暗
黒物質探索に応用可能であることを示した。

