研究成果

修士 論文発表会 2024
修士課程2年: 後藤 駿 (KamLAND)

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修士課程2年: 後藤 駿 (KamLAND)   発表:2024年1月30日

論文タイトル:『KamLAND-Zen実験におけるXe核破砕バックグラウンド除去効率の改善』

論文概要
 0νββ 探索実験であるKamLAND-Zen実験では現在、主なバックグラウンドの一つと して宇宙線ミューオンのXe原子核破砕による長寿命不安定原子核の崩壊が問題に なっている。これまでの解析では破砕による中性子の距離と崩壊時間を用いた最 尤推定法によってXe核破砕バックグラウンドを見分けているが、原子核の寿命が 長いことと中性子検出効率の悪さから長寿命原子核の除去率は約 40% にとどま っていた。
 本研究ではこの除去効率を上げるためにニューラルネットワークを導入した。ニ ューラルネットワークモデルとしてPointNetを選択し、使える情報を精査して中 性子の3次元分布とミュー オンからXe核破砕原子核崩壊までの時間を入力データ として決定した。この入力データとPointNetでXe核破砕バックグラウンド除去効 率と不定性の計算をした結果、47.6 ± 6.1%で、信号損失は10.7%であった。さら に従来の最尤法と比べて0νββの半減期に対する感度が約5%向上することが確認で きた。