研究成果

修士論文発表会 2026
修士課程2年: 遠藤 蓮

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Endo front
修士課程2年: 遠藤 蓮   発表:2026年2月2日

論文タイトル:『KamLAND2-Zen実験における宇宙線ミューオンに対応したデータ転送システム開発』

論文概要
ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊(0ν2β)を探索する実験であるKamLAND- Zen実験では、宇宙線ミューオンによるXeの核破砕が大きな背景事象になってい る。これの除去には核破砕によって生じる中性子イベントの情報が使用されてい るため、中性子検出効率を向上させることが重要である。しかし、宇宙線ミュー オンがKamLANDに侵入すると大光量の光により、オーバーシュートとアフターパ ルスが発生するため、これらに対応した中性子検出手法が必要になる。次世代実 験であるKamLAND2-Zen実験で使用予定のオーバーシュート対策ブリーダー回路を 使用したPMTに大光量の光を照射すると、PMT信号が負方向へのベースラインシフ トを生じることが発見された。これにより、KamLAND-Zen実験で使用していた中 性子検出手法が使用できないことが判明した。

そこで本研究では宇宙線ミューオン後の全波形を取得し、それをオフラインで解 析すること考える。これを実現するためには、新型フロントエンド回路である MoGURA2が破綻無くミューオン後の全波形を転送可能であるかを確かめる必要が あるため、これを研究の目的とした。

オーバーシュート対策ブリーダー回路を使用したPMTにLEDを照射することにより、 入射した光量とベースラインシフトが続く時間の関係を調べた。その結果、宇宙 線ミューオン後の全波形取得するためには35µsのデータを取得する必要があると 分かった。

そこで、MoGURA2が35µsの波形をミューオンレート0.3Hzで転送可能かを調べるた めに データ転送実験を行った。その結果、0.3,0.5,1.0,2.0Hzにおいて、破綻無 くデータ転送が可能であると確認できた。従って、MoGURA2が2.0Hzの間隔でにお いて、宇宙線ミューオン後の全波形を取得が可能であることを確認できた。

KamLANDに飛来するミューオンの中で、飛来する時間差が0.5秒以下であるのは86. 1%である。ミューオン後35µs中に捕獲される中性子に対し、KamLAND-Zenでは検 出効率が30%未満であった。従って、もしMoGURA2において取得した波形から全 ての中性子を検出できる場合、中性子検出効率を大幅に向上できることが分かっ た。