修士論文発表会 2026
修士課程2年: 見上 万葉
- Feb. 26, 2026
- 研究成果

修士課程2年: 見上 万葉 発表:2026年2月4日
論文タイトル:『高感度80Lラドン計を用いたKERNEL実験施設における空気純化システムの性能評価』
論文概要
本研究は、大型液体シンチレータ検出器KamLANDの次世代器であるKamLAND2をは
じめとする極稀事象探索実験に向けて、空気中ラドン起源バックグラウンドの低
減を目的とした空気純化技術の確立を目指したものである。空気中に含まれる放
射性希ガス222Rnは崩壊系列の中で長寿命娘核種を生成し、これらが帯電して検
出器表面に付着・蓄積することで、低エネルギー領域におけるα線およびβ線バッ
クグラウンドの主要因となる。特に太陽ニュートリノ観測や暗黒物質探索では、
極めて低い事象率を扱うため、ラドン由来バックグラウンドは感度を制限する重
要な要素である。このように一度付着した娘核種の除去は困難であることから、
検出器内部の純化だけでなく、建設・運用時に供給する空気そのものを極低ラド
ン濃度に制御することが不可欠となる。
本研究では、神岡地下に新設されたKERNEL実験施設に導入された空気純化システ
ムに着目し、高感度ラドン計を用いてその性能を評価した。冷却活性炭を用いた
試験では、温度や流量条件の最適化により高い除去性能が得られることを確認し、
実用的な流量条件においても目標濃度へ到達可能であることを示した。一方、銀
ゼオライトは低流量条件で極めて優れた吸着特性を示し、充填量を十分に確保す
ることで高流量条件下でも高い除去性能を発揮する可能性が示唆された。さらに、
両者を組み合わせた多段構成とすることで、それぞれの長所を活かしつつ、安定
かつ大流量での極低ラドン環境の実現が可能であることを明らかにした。