修士論文発表会 2026
修士課程2年: 小野 隆伸
- Feb. 26, 2026
- 研究成果

修士課程2年: 小野 隆伸 発表:2026年2月2日
論文タイトル:『海洋底ニュートリノ検出器OBDの検出器構造設計』
論文概要
地球の熱源は、形成時から残存する原始の熱と放射性物質の崩壊による放射性
熱から成るが、その熱バランスや分布、特にマントルの放射性熱量には大きな不
確実性が残されている。この解明のため、放射性崩壊に伴い放出される地球ニュ
ートリノの観測が有効な手段として注目されてきた。しかし大陸上の観測では地
殻由来成分が支配的であり、マントル起源の情報を得にくいという課題がある。
これを克服するため提案されたのが海洋底ニュートリノ検出器(OBD)である。
OBDでは、宇宙線ミューオンによるバックグラウンドの低減とマントル起源の地
球ニュートリノ直接観測のため、検出器を深海4kmに設置する計画である。
これまで提案されてきた検出器設計は、シミュレーションにおけるバックグラ
ウンドの影響や熱量の感度評価に基づくものであり、深海4kmという特殊環境へ
の長期設置による影響は考慮されていなかった。そこで本研究では、深海環境下
における長期設置を想定し、構造安全性の評価を新たに取り入れた検出器設計を
行った。そのためにまず、設計に直接影響を与える材料特性の把握を目的として、
バッファオイルの組成を決定するとともに、アクリルの強度試験を実施した。こ
れらの評価結果を設計条件に反映させ、10年間の安全な運用を可能とする工学的
要求と、集光量の最大化による高いエネルギー分解能・位置分解能の確保という
物理学的要求を両立する最適な検出器構造を決定した。