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修士論文発表会2020 和田佳樹

『KamLAND2-Zen実験における発光性バルーンのための高発光液体シンチレータの開発』

修士課程2年 和田 佳樹

論文概要

我々が行なっているKamLAND-Zen実験は、ニュートリノレス二重ベータ崩壊事象の探索を行なっています。将来実験KamLAND2-Zen実験では、KamLAND-Zen実験よりも感度を向上させるために、発光性バルーンや新しい液体シンチレータを使用することが計画されています。発光性バルーンは内部に液体シンチレータを入れるため、液体シンチレータ耐性が必要になります。また、液体シンチレータ中での光の伝播を正確に再現するには、光の屈折や散乱などの新しい液体シンチレータの性能評価が必要になります。

検出器内部で生じる素粒子反応のエネルギーを推定する手続きをエネルギー再構成と呼び、約2000本のPMTからの情報を統計的に処理して(最尤推定と呼ばれる方法を使っています)エネルギー推定を行っています。本研究では、PMTごとの応答性の違いを反映できるような確率モデルを考案し、エネルギー再構成に適用しました。その結果、すべての低ゲインPMTを活用することに成功し、エネルギー分解能として約3%の改善を達成しました。これは、2νモード背景事象数にして約20%の削減に対応し、KamLAND-Zen 800実験の探索感度にして1.07倍に相当します。

今後PMTの性能低下は、継続的に進行することが予想され、低ゲインPMTを活用することは実験遂行に必須です。本研究によりそれが可能となり、KamLAND-Zen800実験は、観測予定期間の2024年まで世界最高感度を維持したまま、実験を継続することが期待されます。

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