INTERVIEW OF NEUTRINO MEMBER VOL.10 玉江 京子
助教 玉江 京子
1. 何をされているのか、自分はここを特に詳しくやっている等わかりやすく教えてください。
計算機システム全体の管理をしています。今は専門のエンジニアがサポートして下さっていますが、今ほどネットワークが発達していなかった頃は、何かトラブルがあると管理者が夜中でも駆けつけたものです。
研究は、KamLANDデータで陽子崩壊事象を探しています。宇宙の歴史より長い寿命の陽子が崩壊するのを待っているのですから大変です。でも大容量の陽子を集めて効率よく探せばきっと見つかると信じています。
2. 今の仕事に興味を持ったきっかけは何ですか?何歳の時でしたか?
まさか仕事に結びつくとは思いませんでしたが、素粒子物理学に惹かれたのは、学部3年生の時です。泡箱写真解析をしている研究室を訪問した時でした。暗い部屋で、明かりを点けた瞬間、素粒子の飛跡が目に入りました。荷電粒子だけに注目すると、π中間子が崩壊してμ粒子を作り、それがまた崩壊してできた電子/陽電子がつながっているのだと教えていただきました。(πμeパイミューイーと呼びます。)この時の感動を今でも忘れません。
3. 仕事によって得る嬉しいことと、嫌なことは何ですか?
仕事上嫌なことは、ほとんどありませんが、強いて挙げるなら、会議が長い時でしょうか。必要なことでの議論が続くのはいいのですが、必要以上に長引くのは疲れます。
仕事によって得る嬉しいことはいっぱいあって話し切れません。
4. ストレス発散法は何ですか?
ペンギンやクラゲの写真を眺めるのが好きです。もちろん、水族館に行って本物を見るのが好きです。今は週1回しかできませんが、フルート演奏も心やすらぎます。それ以上のやすらぎは元気に走り回るようになった孫の動画を観る事です。
5. 将来の夢や目標は何ですか?
数年の研究で発見できなかった陽子崩壊事象を死ぬまでに見つけることです(笑)
もう一つは、孫に微積を教えることです。私は女子大に入学したのですが、その時研究科長だった教授からの祝辞が、「あなた達がお婆さんになっても孫に微積を教えられるようにおなりなさい。」と言われたのが印象的で、その時は馬鹿にされたと思っていましたが、今では、励ましだったと思えるようになりました。
6. 良い結果が出るために日頃心がけていることはありますか?あったら教えて下さい。
「諦めない」ですかね。
7. おすすめの本を教えてください。
少し前になりますが、お気に入りは元素図鑑です。知り合いの科学者の卵にプレゼントしたのがきっかけでしたが、自分でも欲しくなって自分へのクリスマスプレゼントにしたくらいです。写真が美しく、各元素のことが詳しくわかります。老若男女にお勧めです。ただし残念ながら私の持っている版には113番目のニホニウムが載っていません。
8. 同じ様な分野を目指したい学生たちへのアドバイスをお願いします。
最近、「リケジョ」と言う言葉を耳にしますが,複雑な気持ちです。理系女子が少ないので注目されるようになりましたが、実態は意外と女性であることを意識せず過ごしているような。。。勿論、女性研究者が多くなるのは大歓迎ですよ。
男性も女性も好きな道に進むのが一番です。自分の進む道は自分で決めましょう。