INTERVIEW OF NEUTRINO MEMBER VOL.7 白井淳平
教授 白井 淳平
1. 何をされているのか、自分はここを特に詳しくやっている等わかりやすく教えてください。
平成9年につくばのKEKから赴任して以来、ニュートリノセンターにおります。旧カミオカンデ検出器の解体に始まりカムランド検出器の建設と実験を経て現在はカムランド禅実験(キセノン136原子核を用いたニュートリノレス2重ベータ崩壊の探索)に従事しています。この実験は平成23年に始まりましたが、検出器の中核であるミニバルーンの開発製造の中心人物の一人として活動しました。現在はこれからの一層の感度の向上を目指して新型ミニバルーンや新たな光電子増倍管の導入に向けて活動しています。
2. 今の仕事に興味を持ったきっかけは何ですか?何歳の時でしたか?
小学校4年の頃に出会った本で科学の面白さを感じ、いつか科学の研究ができるといいなと思っていました。特に「物質は何からできているのか?」という問いにはとても興味をそそられ、高校生の頃に物理学に魅力を感じるようになりました。しかし現実は厳しく学校の勉強は大変だったことを覚えています。
3. 仕事によって得る嬉しいことと、嫌なことは何ですか?
実験により予想とは違った結果が出て、それを追求する中で真の現象が見えて来るのを経験できることはとても素晴らしいことです。なお目的に向かって実験を進める中ではいろいろと苦手な事や、一見無関係に思える事もやらなくてはいけないことが多いです。それはつらいことではありますが辛抱して乗り越えたときの達成感はかえ難いものです。
4. ここRCNSならではの良さについて教えて下さい
研究施設としての設備がとてもよく整っていること。スタッフ、学生ともにフランクに議論ができる雰囲気があることはとても良い環境だと思います。
5. マイブーム又は趣味は何ですか?
以前は体を動かすことが大好きで運動(剣道、体操、ランニングなど)をよくやっていました。現在は激しい運動はやめてウオーキングを心がけています。他の趣味は音楽(とくにクラシック音楽)を聞く事です。音楽は心を落ち着かせてくれますし、実際気持ちが救われたことは多いです。また仙台に来てから日本酒の魅力にはまっております。飲んべえではありませんが東北の地酒を中心に晩酌を楽しんでいます。
6. これまでの研究生活を振り返り、率直に感じることや、深く印象に残っていることは何ですか?
「夢を持ち続けてそれに向かって努力すれば、いつかはそれがかなう可能性が少しは高まるものだ」と小柴先生がおっしゃっていましたが正しいと思います。また、「研究を行う上では単に問題を解く事よりも問題を見つける事の方がはるかに重要である」と大学の頃ある先生がおっしゃっていましたがこれも印象が深いです。
7. 研究者の目線で、世の中がもっとこうなれば良いのにと思うことは何ですか?
一般論としてですが、世界ではどこかでいつも戦争や紛争が起こっており多くの人が不幸な境遇を強いられています。とても悲しい事ですが、それを引き起こす人間の心は何とかならないものかと思います。
8. 良い結果が出るために日頃心がけていることはありますか?あったら教えて下さい。
努力することはもちろん大切ですが、たまには気分転換も必要です。それと「素直な心を持ちましょう」ということでしょうか。人はもちろん、自然に対しても素直な気持ちで接することがとても重要だと思います。
9. おすすめの本を教えてください。
物理とは関係ないですが、吉川英治著「宮本武蔵」でしょうか。ちょっと古いかもしれませんが、人間の行き方について学べる良い作品だと思います。
10. 座右の銘は何ですか?
最近知った言葉から2つほど。「若いうちに流さなかった汗は年をとってからの涙に変わる」(野村前監督のことば)、「努力しない者に共存共栄はない!」(某氏のことば)
11. 同じ様な研究をしたいと思っている学生や、研究者になりたい子供たちへのアドバイスをお願いします。
すでに述べましたが、夢を持ち続けそれに向かってひたむきに努力することでしょう。そして特に若いうちは何事にも意欲的に取り組むこと。経験で学んだことは今はわからないけれども将来きっと何か役にたつことが少なくないです。最後に、得られた成果をいつか形はどうであれ世の中にお返しするという感謝の気持ちを忘れないことが大切だと思います。
最後に、自由コメントお願いします!
ニュートリノセンターの見学はいつでも歓迎いたします。興味をお持ちの方は電話一本でお気軽にいらしてください。