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修士論文発表会2020 川田七海

『KamLAND-Zen実験における低ゲインPMTへの信号増幅器導入によるエネルギー分解能向上』

修士課程2年 川田 七海

論文概要

       KamLAND-Zenは、1 ktの液体シンチレータと光電子増倍管(PMT)からなる反電子ニュートリノ検出器KamLANDに二重ベータ崩壊核であるキセノン136を導入し、この原子核のニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊(0ν2β崩壊)を探索する実験である。0ν2β崩壊の検出は、ニュートリノがマヨラナ粒子である証拠となる。ニュートリノがマヨラナ粒子であれば、その質量が他の素粒子と比べ極端に小さい理由をシーソー機構によって説明できる。また、物質優勢の宇宙が形成された過程を説明する鍵となる。
       ところで、現在KamLANDでは、出力の低下したPMT(低ゲインPMT)が増加している。そのようなPMTは出力信号から入射光量を推定することができないため、現在は解析から除外されている。また、ゲインが低下したことによりPMTの光電子検出効率も低下している。KamLANDのエネルギー分解能は、原理的には観測光量の統計誤差で決まるから、先に述べた2つの理由により、検出光電子数が減少すれば、エネルギー分解能は低下する。

       KamLAND-Zenにおける0ν2β崩壊信号の最大の背景事象は、通常の二重ベータ崩壊(2ν2β崩壊)である。これは、検出器の低放射能化や遅延同時計測といった方法で軽減することができず、0ν2β崩壊事象との分離はエネルギーによっている。したがって、エネルギー分解能が低下すれば、0ν2β崩壊崩壊と2ν2β崩壊の分離効率が低下し、KamLAND-Zen実験の0ν2β崩壊半減期に対する感度低下に繋がる。
       そこで、本研究では、低ゲインPMTの出力低下を補い検出器のエネルギー分解能を向上するための信号増幅器の開発と性能評価を行った。実験室での動作検証の後、KamLANDの低ゲインPMTへの試験導入を行い、現地の環境でも増幅器が問題なく動作すること、増幅器の導入によって低ゲインPMTの光電子検出効率を通常のPMTと同程度まで向上できることを確認した。その後、合計198本のPMTに増幅器を導入し、増幅器の導入によって検出器のエネルギー分解能が向上することを示した。

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